今回は新規に承認された新型コロナワクチンについて述べたいと思います。
モデルナはmRNA、アストラゼネカはウィルスベクターワクチン
先日コロナワクチンの種類について簡単に書いてますので、全体像はそちらをごらんください。https://makoto-zaitaku.com/hp/index.php/2021/05/29/coronavaccin2/。モデルナのワクチンはmRNAワクチンで前回説明させて頂きました。今回はウィルスベクターワクチンについて説明してみたいと思います。
ウィルスベクターワクチンとは
人に対して害がとても低いウィルスを運び屋(ベクター)として用いるワクチンをウィルスベクターワクチンといいます。COVID-19ワクチンでは主にアデノウィルスをベクターとして新型コロナウイルスの遺伝子の一部を組み込み、ワクチンとして摂取するとCOVID-19のタンパク質が作られ、免疫応答が引き起こされます。実際のウィルスを用いた抗体であるため、細胞内でのタンパク質の生成効率が高く免疫応答を強く引き起こします。しかしベクターに用いるウィルスに対しても抗体が産生されるため二回目以降のワクチン接種の際に、ベクターが細胞に遺伝情報を運ぶ前に駆逐されてしまいワクチンの効果が低下するといった欠点があります。しかし、遺伝情報がウィルスによって包まれた形でつくられているので保管方法がmRNAワクチンと比較して簡便という利点があります。
3種類のワクチンの比較
ファイザー | モデルナ | アストラゼネカ | |
ワクチンの種類 | mRNA | mRNA | ウィルスベクター |
管理温度 | -70℃ | -20℃ | 2-8℃ |
発症予防有効率 | 95% | 94% | 76% |
稀な副反応 | アナフィラキシーショック 4.7-11.1回 / 100万回 | *アナフィラキシーショック 2-2.5回 / 100万回 *モデルナアーム (接種後5-9日で腕が赤くなる) 8000人 / 100万回 | 血栓症 4.7-11.1/100万回 |
このように若干ワクチンの種類によって効果などに違いがあります。現在医療従事者、高齢者にはファイザー社のワクチンが、大希望接種会場ではモデルナ社のもの、アストラゼネカは未定という形になっているようです(2021/5/21現在)。アストラゼネカのワクチンがやや効果が低いようにも見えますが、インフルエンザワクチンが重症化と発症予防しかなく、その効果も50-60%程度であったことを考えると、重症化だけでなく感染予防効果も期待できるワクチンであるため、どのワクチンもとても優れたものであると言えます。今後ワクチンの選択肢が増えることでより多くの方々がワクチンを接種できる機会が得られれば、集団免疫が獲得でき新型コロナウィルスとの戦いは一旦区切りが打てます。
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