健康相談

新型コロナウィルスについて

本日は新型コロナウィルスの臨床症状について書きたいと思います。

インフルエンザに似た症状+嗅覚・味覚症状が出るのが大きな特徴

新型コロナウィルス(COVID-19)の潜伏期は14日以内、暴露からおおむね5日で発症します。症状がある方の多くは発熱、呼吸器症状(咳、のどの痛み)、頭痛、倦怠感などのインフルエンザに似た症状(鼻水や鼻詰まりは少ない)が出ます。下痢や、嘔吐などの症状もみられ、その頻度は下痢13%、吐き気・嘔吐10%、腹痛9%と報告されております。インフルエンザのような症状が出て更に嗅覚障害(頻度53%)・味覚障害(頻度44%)がある点がCOVID-19の特徴です。

特徴的な経過

COVID-19は特徴的な経過をたどります。発症から1週間ほどは軽症であることが多いですが、一部の症例で酸素が必要になり、さらに重症化する場合は10日目以降に集中治療室での治療を必要とすることがあると。発症直後が軽症であったとしてもその後1週間以上の経過を経て急激に悪化することがCOVID-19の恐ろしいところで、PCR陽性者の隔離後経過観察が重要なのも、このような点からきております。日本でのCOVID19入院患者のデータであるCOVIREGI-JPの2638人の解析では入院患者の年齢中央値は56歳(四分位範囲40-71歳)、症例の半数以上が男性(58.9% 1542/2619)でした。入院までの中央値は7日、入院期間は15日、死亡率が7.5%でした。酸素投与が不要な軽症者は62%、酸素投与を有した中等症者が30%、重傷者が9%でした。

重症化のリスク因子

  • 65歳以上の高齢者 50歳から年齢が上がるにつれてリスクはあがり2020年10月の時点で死亡率は60代2.3%、70代で7.2%、80歳以上で17.5%となっている。
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 慢性腎臓病
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 心血管疾患
  • 肥満(BMI30以上)

後遺症状

COVID-19が治癒した後も症状が遷延するという報告があり、日本からの報告(COVID-19から回復した63人へのインタビュー)発症から60日後に嗅覚障害(19.4%)、呼吸困難(17.5%)、倦怠感(15.9%)、咳(7.9%)、味覚障害(4.8%)を認めてました。120日後には呼吸困難(11.1%)、嗅覚障害(9.7%)、倦怠感(9.5%)、咳(6.3%)、味覚障害(1.6%)が続いていて急性期に見られなかった脱毛症が24%で認めていました。

現在COVID-19の有効な治療薬は不十分であり、ワクチン接種により集団免疫を獲得することが必要とされています。基本的には手洗い、うがい、マスクの着用により感染予防に気を付けながら日々の生活にも彩をもって過ごし過度なストレスはため込まないようにすると良いと思います。

次回以降新型コロナワクチンについて書きたいと考えております。

参考文献:日本医師会雑誌5月号 COVID19の臨床像 忽那賢志

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