当院の治療

高齢者の下肢の浮腫はアムロジピンが原因のことがあります。

下肢の浮腫(むくみは)、訪問診療、外来診療を行っているとよく遭遇する愁訴です。様々な要因が絡まって浮腫は起こりますが、血圧を下げる薬のアムロジピンが原因のことがあります。アムロジピンはCa拮抗薬という種類の降圧薬で、降圧効果も高く、20年以上も使われているよく知られた薬です。私も高血圧の方が来られた際には最初に処方することが多い薬剤です。わたくしの父も内服しております。

では何故アムロジピンで浮腫が起こるのか。

アムロジピンは抹消血管を拡張しますが、静脈よりも動脈を強く拡張させることで毛細血管圧が上昇し血流が悪くなるため静脈内に血液がうっ滞し周囲の組織へ液体が漏れ出し浮腫が生じます。アムロジピンを辞めることで浮腫が改善する場合もあるので当院では浮腫がありこの薬を飲んでいる場合は一度はアムロジピンの減量を行うことが多いです。

普段から飲んでいる薬漫然と処方するのではなく、体に異常があれば見直すことも大切です。

詳しい薬理学的な説明は以下となります。

Ca拮抗薬は、細胞膜の膜電位依存性Caチャネルに作用し、平滑筋細胞にCa2+が流入するのを抑え、血管収縮を抑制し、末梢血管抵抗を減弱して降圧作用を発揮します。Ca拮抗薬は末梢血管を拡張しますが、多くはL型Caチャネル遮断を主作用として末梢静脈よりも末梢動脈に対して強く血管拡張作用を示すので、静脈と動脈との間に圧格差が生まれます。すると毛細血管圧が上昇して血液の流れが悪くなるため、血液の成分が血管外に漏れ出し浮腫を生じます。

Ca拮抗薬の中で薬剤を変更する場合はL/N型Ca拮抗薬(シルニジピン等)への変更を検討します。N型Caチャネルも遮断するシルニジピンは細動脈だけでなく細静脈も拡張させる効果を持つことが報告されています。

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